生鰹から鰹節まで

鰹の種類、回遊、生食から鰹節への加工

丸一横山商店Co.,Ltd

鰹の種類

かつお

【和名】鰹、ホンカツオ、マガツオ、スジ 【分類】スズキ目、サバ科、カツオ属 

  • カツオ(鰹)・・・沿岸から沖合の表層域に生息。体調1m、体重20kgを超えるものも。水温16~30度cの幅広い温度帯で活動でき、 北緯40度南緯40度の温・熱帯域に分布。海中に溶け込んだ酸素を取り入れるため、口をあけて高速で泳ぐ。
  • スマ(須萬)・・・カツオに似ているが、ややおおきめ。沿岸の表中層域に棲息。高速で遊泳して10匹前後で群れを構成。 太平洋やインド洋の18~29度cの海域に生息。生後3年で全長50㎝前後に、漁獲高は少なく、市場に出回ることは少ない。
  • ハガツオ(歯鰹)・・・福島県以南の太平洋海域のほか、日本海域でも見られる。体長50㎝前後。カツオに酷似しているが、歯が大きく、 鋭い犬歯があるので「キツネ」とも呼ばれる。カツオに比べ肉質が軟らかいため、鰹節には不向き。
  • ヒラソウダ(平宗太)・・・大群を形成して沿岸域の表層を移動する。生後1年で20~25㎝、3年で40㎝前後に成長。血合いが多く 腐りやすいため、マルソウダガツオとともに「宗太節」の原料に、そばつゆや数種の鰹節をブレンドする際、味のベースに。
  • マルソウダ(丸宗太)・・・本州中部以南の海に棲息。透明度が高く、流れの早い海域に大群を作ることが多い。 ヒラソウダガツオよりも血合いが多く、「宗田節」の原料となる。主な産地は高知県土佐清水市で、全体の7~8割を占める。

鰹の回遊

初鰹と戻り鰹

春になると黒潮に乗り、宮崎、高知、静岡、千葉、三陸‥…季節の訪れを告げる「初鰹」は、初物好きの江戸っ子が、 先を争って高値で買い求めていたといわれほど。臭味がなく、あっさりした味わいが魅力です。9月に入り、秋の訪れを感じたカツオは、 航路を転じて南下。北の海でイワシなどを食べ、春よりもひと回り大きくなり、脂肪分を蓄えた「戻リガツオ」となって、秋の食卓を賑わせます。 江戸時代より、肉食の進んだ現在、「初鰹より、脂ののった戻りガツオが好き」という声も少なくありません。

本枯節

カツオは腐敗しやすく、保存の難しい魚でした。それをなんとか長く、おいしく食べようと、私たちの祖先は、古代から試行錯誤を繰り返してきたのです。 生のカツオを熱湯で煮た後、煙で燻して乾燥。燻す工程を何度も繰り返した後、表面のタール分を削り、カビ付けして表面をコーティング。 こうしてうま味を凝縮させて生まれる「本枯節」は、日本の食文化の歴史と技の「結晶」ともいえるでしょう。

鰹の回遊

カツオは、群れをなして回遊し、水温15~3。℃の幅広い温度帯で活動できるため、熱帯から温帯にかけての世界中の海に生息しています。熱帯・ 亜熱帯海域で産卵後、孵化した稚魚は数週間で遊泳力をもつようになり、眠るときに速度を落とす以外は、時速3。~4。 キロで昼も夜も一生泳ぎ続けます。

鰹の回遊ルートカツオは同じサバ科のマグロより生息域が広いため、資源枯渇の心配は少ないといわれてきました。しかし、日本近海の漁業者の間では、近年「なか なか群れが見つからない」との声が上がっています。実際にこの春は、「回遊少なく水揚げ減少」の傾向にあり、日本近海を北上するカツオに、異変が 起きているのは間違いないようです。一方、世界的に「肉食から、魚食へ」のムープメントが巻き起こる中、漁獲量も多く値段も手軽なカツオの消費量 は、世界規模で急速に伸び続け、今や国際商品に。カツオをめぐる状況は確実に変わっているのです。

かつおの回遊地図

日本近海でカツオが北上するルートには、「黒潮ルート」「紀州沖ルート」「伊豆小笠原ルート」「東沖ルート」があるが、近年、「黒潮」「紀州」 ルートを北上するカツオが減っていて、その動向が懸念されている。

かつおは国際的

かつお漁法の変化で4倍に

カツオを獲る漁法には、大きく分けて「竿釣り(=一本釣りこと「まそ網」がぁる。1970年代まで、中西部大平洋地域でのカツオ漁は 、日本の漁船、中でも竿釣りが中心だった。一方まき網は、第二次大戦後、アメリカにより導入された漁法で、大きな網で群れを一網打尽にするため、 竿釣りよりも一航海あたりの漁獲量が格段に多い。80年代以降、まき網船による漁場開発が世界的に広まっている。70年代、 40万台tだった中西部太平洋の漁獲量は、90年代に100万t、近年は170万tを超え30年間で約4倍に。その背景には、 まき網漁業の世界的な躍進がある。06年の漁法別漁獲量(暫定値)は85%がまき網、約11%が竿釣り。まき網は日本、韓国、パプァニューギニア、 台湾などが多く、竿釣りは約7割を日本が占める。

かつおの国際相場は、バンコクで決まる!

穀物相場がアメリヵのシカゴで決まるように、カツォの国際相場はタィのバンコクで決まる。世界の缶詰工場がここに集結し、 生産基地となっているからだ。2001年4ポンドサイス(約8キロ)のカツォの価格はlt600ドル。それが07年4月に1000ドルを越えてから急激に高騰。 08年7月には2000ドルに達した。世界的に見ると、カツオは缶詰の材料として取引されていて、最大のマーケットはアメリヵ。ツナ缶材料のキハダマグロが、 世界的な漁業規制の高まりの中で値上がりし、代替原料としてカツオのニーズが伸びているのだ。さらにヨーロッパ、中南米、インドでも需要が増大。 相場によっては日本に生鮮で水揚げされたカツオを冷凍して、バンコクに輸出することもある。今やカツオは、小麦やマグロと変わらぬ、国際商品なのだ。

国内の消費量、生は高知、鰹節は那覇がトップ

鰹の消費量は、県や市町村によってかなりバラつきがある。刺身や鰹のたたきなど、生食用の消費量は、ダントツ1位が高知市。2位の福島市に金額で 2倍、量で1.6倍食べている。高知県はカツオ漁船の基地が多く、カツオにまつわる行事やイベントも多い。カツオのたたきは、名物皿鉢料理(さわちりょうり) に欠かせぬ一品。カツオは元々劣化が早く、生で流通させるのが難しい魚だったためか、冷凍技術が発達した現在でも、水揚げ港に近い太平洋の町が 上位を占めている。

一方、鰹節、削り節部門では圧倒的に那覇市。生で1位の高知市の2倍、沖縄県全体では、全国平均の7倍消費していて、濃厚な出汁が とれる厚削りタイプが主流になっている。

保存性の高い鰹節は、岐阜や甲府市など内陸部の都市でもニーズが高い。

日本のかつお消費の概要

生カツオの消費額

  • 高知市・・・10,618円
  • 福島市・・・4,898円
  • 仙台市・・・4,510円
  • 水戸市・・・4,400円
  • 盛岡市・・・3,570円
  • 徳島市・・・3,028円
  • 和歌山市・・・2,922円
  • 津市・・・2,901円
  • 静岡市・・・2,691円
  • 松山市・・・2,690円

鰹節・削り節 消費額

  • 那覇市・・・2,414円
  • 高知市・・・1,269円
  • 鹿児島市・・・1,193円
  • 津市・・・1,133円
  • 岐阜市・・・1,077円
  • 甲府市・・・1.054円
  • 大津市・・・1,024円
  • 徳島市・・・1,023円
  • 静岡市・・・1,005円
  • 奈良市・・・936円

参考資料:みなと新聞

かつお漁

海外まき網漁船

漁船は350t。航海日数25~45日。漁場は南方水域、インド洋、大西洋。魚の群れを大きな網(長さ2000m、深さ200m)で包囲。 すばやく網底を絞って袋状にし、群れを巻き取る。

竿釣り漁船

漁船は、沿岸10~19tヽ近海20~1201、遠洋120~400t。航海日数は、日本近海2~7日、南方水域10~60日。 カツオの群れに生餌をまき、撒水しながら疑似針で釣上げる。

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