本鰹節と日本料理のだし

日本料理の味は本鰹節、本節が大切です。

丸一横山商店 Co.,Ltd

 

本鰹節を使っただし

和食・洋食・中華で異なるだし

欧風料理や中国料理では、材料に鳥ガラや野菜類など生鮮品を 用いてだしをとることがほとんどだ。料理では、だしは味の基礎にしたり味を補うために 使われることが多い。和食のおいしさは、鰹節(かつお節)と昆布に代表されるだしを主体として 成り立っているとさえいえる。だしはそれ単独で料理として成立するものでは ないが、料理の味を決める最も重要な要素だ。

微妙に違う専門店のだしの引き出し方

下記はそれぞれ水に張った鍋に昆布を入れて、加熱時の火加減・昆布の引き上げのタイミング・ 鰹節を加えてからの火加減・アク取り・濾すタイミングです

  • 中火→沸騰直前→火を弱めてから加える→中火にしてほんのひと呼吸煮る→アクを取ってから火を止める→火を止めひと呼吸待ってから濾す
  • 中火→沸騰したら→昆布を取り出したらすぐに加える→中火のままひと煮立ちさせる→火を止めてからアクを取る→鰹節が沈み始めたら濾す
  • 中火→沸騰したら→水を差して温度を下げてから加える→中火のままひと煮立ちさせる→火を止めてからアクを取る→鰹節が沈み始めたら濾す
  • 一晩浸けておく→弱火→沸騰直前→火を止めてから加える→火は止めたまま置く→2分ほど置いてから濾す
  • 一晩浸けておく→弱火→沸騰直前→昆布を取り出したらすぐ加える→弱火のまま煮立てないように1分ほど加熱する →鰹節が沈んだらすぐに濾す
  • 中火→沸騰直前→火を弱めてから加える→中火にしてひと煮立させる→そのまま置く(アクがでた場合は取り除く)→ 火を止めたらすぐに濾す
  • 中火→沸騰直前→一旦沸騰させた後火を弱めてから加える→弱火でアクを取りながら5分ほど煮る→鰹節が 沈んだら濾す
  • 2~3時間浸けておく→中火→沸騰直前→火を止めてから加える→火は止めたまま置く→鰹節(かつお節)が沈んできたらアクを取って濾す

料理に合わせただし

一番だしと二番だし

だしの引き方や材料も使う料理に合わせて柔軟に工夫したい。 例えば、汁物のように淡泊な風味の吸い地が主役の場合には、 うま味と香りのバランスがとれた癖のない一番だしが要求される。 一方、煮物などの調理の過程で素材に味をのせる場合には、うま味の強い二番だしが求められる。 そのため、同じかつお節を使う場合でも一番だしには血合いを除いたクセのない味の本鰹節を使い 、二番だしに用いる追い鰹には血合いをつけたままのコクのあるものを使います。料理によってだしの鰹節の 材料も微妙に変えるようにする。また、一番だしと二番だしとでは、加熱の温度や時間も大きく変わってきます。

鰹節と昆布でとる一番だし

  • 昆布表面にはうま味成分があるので洗わない。だしをとる直前に、固く絞った清潔な濡れ布巾で、汚れをさっと拭き取る 程度でよい。
  • 昆布は適当な大きさに切り分けて使う。鍋に浄水を入れ、昆布を入れる。昆布がふやけてぬめりが出てくるまで 、2時間ほど浸けておく。
  • 昆布にぬめりが出てきたらそのまま鍋を強火にかける。鍋をゆすったり中を買い混ぜたりせず、そのまま静かに待つ。
  • 煮立てると昆布の臭みが出るので、沸騰直前の90度C程度の湯温で引き上げる。 鍋の中に小さな気泡が付いてきた頃が目安。
  • 昆布を引き上げたら、ひと煮立ちさせて温度を上げる。玉杓子でかき混ぜて、鍋の中の微妙な温度差を 均一にする。
  • 鰹節特有の臭みが出ないよう、差し水をして湯温を95~96度Cにする。
  • 分量の鰹節を一気に加え、浮いている部分を箸で静かに沈める。
  • 浮いているアクを、静かにすくい取る。約3分置いて味をみる。
  • 目指すうま味と香りが出たところで、目の細かい濾し布で濾す。濁りがでないように静かに 行う。
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二番だしの取り方

一番だしをとって残った鰹節と昆布に水をいれて強火で煮出すが、その途中で、追いカツオをして うま味を補うようにする。この時、血合いの付いたままの鰹節を使えば、節は少量でうま味は強められる。 だしを引く際、どのだしにも言えるが、煮立てているとき、表面に浮いているアクはこまめにすくい取ることが、 よいだしを仕上げるポイントである。

  • 一番だしを取って残った鰹節と昆布を水に入れ、強火にかけて煮立たせる。この時、表面に 浮いてくるアクは丁寧にすくい取る。
  • 昆布の表面にぬめりが多く見られるようになったら、鍋から引き上げる。あまり長く 煮出していると、エグミが出てくる。
  • 昆布を出したら、血合いを取らない鰹節を加え、湯の表面に小さな気泡が立つ程度の火加減で 煮出す。
  • 味をみて、目指すうま味がでていたら、目の細かい布で濾す。上品な風味の一番だしと 異なり、鰹節のうま味が特徴のだしなので、うま味を充分に取り出すために布巾で強く絞る。
 
だしを安定させる繊細な技術

だしを引く技術は、鰹節や昆布を水に入れて火にかける、乾物類を水に浸けておくというように、一見単純に見える 。しかし、安定した味のだしを引くためには、長年の経験と深い知識が必要となってくる。火加減や湯の温度に よって味が変わってしまいます。次のことに注意します。まず材料について、昆布は水に浸けておくだけでも うま味は出るが、煮だしすぎると酸味や昆布特有の臭いが出てくる。反対にタイのあらは何時間水に浸けておいても うま味は出てこない。

こうした材料の性質の違いを理解した上で、水に材料を入れてどのくらいの温度で加熱するか、またどの段階で火を 弱めるのか、といった流れをしっかりと把握することが旨いだしを引き出すコツとなる。

湯の温度。実際には非常に繊細なものである。鍋の大きさ、水の量、その日の気温によっても湯温の上がり方は微妙に 違ってきます。さらに鍋の中央とふちとでは微妙に温度が違う。そこで一番だしなどでは鰹節(かつお節)を入れる前に かき混ぜて温度を均一にすることが必要になります。だしを引く際には湯の表面に立つ気泡の大きさや気泡の 立つ場所、または湯の揺れ具合などから湯温や火加減を見計らい、それをきめこまかく調整することが必要に なります。

本枯れ節と鰹荒節

本鰹節について

本節、本枯れ節、本鰹節鰹荒節、よいだしを引くにはだし材料の特性をしることも重要です。 ここではかつお節についてその種類と基本的なことを解説します。

鰹節は本鰹(ホンカツオ)から作られその大きさに応じて6回~11回燻(いぶ)しながら乾燥させる。 乾燥させたものが荒節で、乾燥後にカビを付けて熟成させたものが枯れ節(本鰹節)です。削ってみると 枯れ節は黄色がかった茶色で荒節は白っぽい色です。また製造時期により春節(4~7月)と秋節 (8~10月)があり脂の少ない春節が上等とされます。

カビつけの手間と熟成時間がかかる枯れ節は高価だが、その分うま味があり香も高い。荒節は淡泊であっさりとしているのが特徴です。 和食店の鰹節は、以前は枯れ節が主流であったが現在ではうま味では枯れ節(本鰹節)に劣るものの、すっきりしただしがとれる荒節が 主流になってきている。

高級和食店では、荒節よりクセのない上品な味を求めて「メジ節」を使うこともあります。メジ節はメジマグロを節に したもので特に血合いをぬいた節を使うとほとんどクセのない上品な香りのだしがとれます。

本節

本節(本鰹節) かつおを三枚におろし背側と腹側にわけて節にしたものが「本節」です。写真の上側が雄節で下側が雌節です。雄節は鰹の背側で 雌節は鰹の腹側です。背側の肉は脂肪が少なく、その節でる雄節からは上品なだしがとれます。逆に腹側は脂肪分が 多く、雌節からはコクのあるだしがとれます。

亀節

亀節生の鰹で3kg以内の小ぶりの鰹でつくる節(3kg以上の鰹は本節になる) で3枚におろした鰹をの身をそのまま節に加工したものです。節の形が亀に似ていることからこの名がつきました。ほどよいコクと うま味のあるだしがとれるのが特徴です。

だしの科学

かつお節と昆布でとるだしの成分

鰹節も昆布もわが国特有のだしの材料として古くから使われていますが、そのうま味の本体はそれぞれ異なっています。 鰹節はイノシン酸とヒスチジン塩、こんぶはグルタミン酸ナトリウムという物質がうま味の主成分で、両者の味はともにうま味と いいながら、完全には同じではありません。

こんぶのうま味は明治41年に池田菊苗氏が、鰹節のほうは大正元年に小玉新太郎氏が、いずれも 純粋な物質としてとりだすことに成功、前記のような物質であることが明らかにされました。

日本のだし汁は、西洋のスープや、中国料理の湯(タン)と違って、目的のうま味成分や香りの成分が水のほうへ溶け出したら、 あとの余分な味やなまぐさみが汁のほうへ出てこないうちに抽出をやめ、カズは捨ててしまうという、他国にはないぜいたくなとり方をするのが 特徴です。したがって何か月がかりでつくった本鰹節(本枯れ節)も、使うときにはわずか数分間でその役目を終わってしまいます。

グルタミン酸はこんぶ以外にも大豆や小麦の蛋白質からつくることができますので、これを利用して「味の素」をはじめとするうま味 調味料が対象はじめからつくられてきました。一方、鰹節からでるうま味のイノシン酸は魚以外に適当な原料がなく、 長い間うま味調味料になりませんでしたが、昭和35年ごろからこれも酵母やバクテリアの力でつくられるようになりました。

微生物によるイノシン酸の製造が始まったころ、グルタミン酸とイノシン酸を別々に用いるより、両者を混ぜ合わせたほうが うま味が強くなることがわかりました。ととえば、グルタミン酸は0.03%、イノシン酸は0.05%くらいの水溶液ではじめて味を 感じますが、この両者の液を混ぜるtと、それより十倍くらいのうすい液でもうま味を感じるようになるのです。市販のうま味調味料は この効果を利用して作られています。鰹節とこんぶを一緒に使うということは、このようなことが知られなかった以前から人々の 生活の知恵といえるでしょう。

だしをとる適温とタイミング

鰹節(かつおぶし)のうま味はおもにイノシン酸と、ヒスチジン酸が毛癒合したものです。そこで鰹節のだしをとる目的は 、このこのイノシン酸ヒスチジン塩のうま味を沸騰した水中に引き出すことにあるわけです。

この物質は熱湯によく溶けるので、鰹節をうすくけずって煮たった湯にいれてすぐ火を止めるか、または煮たつ直前の湯に 入れて、煮たったらすぐとりだせば、大部分湯のほうへ溶けだしていきます。鰹節の漁は水の1~4%も あれば十分です。

鰹節にはイノシン酸とヒステジン塩以外になにもふくまれてないわけではありません。蛋白質も含まれていますし、いわゆるエキス分 といわれるアミノ酸や有機酸類も含まれています。また、わずかですが魚特有のなまぐさみを出すぺ離人やトリメチルアミンも 存在します。鰹節を水の5%以上も使ったり、加熱を長引かせたりしますと、これらの物質も当然だし汁のほうへ 引き出されていきます。そしてうま味だけではなく、酸味や渋味などの不快な味もするようになります。このために鰹節、特に一番だしは長い 加熱をさけるわけです。

うま味成分は一番だしの中にかなりの部分が溶け出していきますので、たとえ、かすを捨てても役目はすんでいるわけですが、 もし残りのうま味成分も利用したいときは、一番だしをとった後、さらに水を加えて、二番だし、三番だしをとっていきます。 こういうだしは吸いものではなく味噌汁や煮ものなどに使用します。まためんつゆは濃い味に合わせて長時間だしをとります。

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